私はお客様を変えようと思っていない
このタイトルを見て、
「セラピストなのに何を言っているの?」
と思われるかもしれません。
でも私は本気でそう思っています。
私はお客様を変えようと思っていません。
もちろん、お顔が変わることは嬉しいです。
姿勢が変わることも嬉しい。
呼吸が深くなることも嬉しい。
鏡を見たお客様が笑顔になる瞬間は、この仕事をしていて本当に幸せな瞬間です。
ですが、その変化を起こしているのは私だけの力ではないと思っています。
これは前のコラムでもお話しましたが。
私はきっかけを作っているだけ。
変わっているのは、お客様自身の身体です。
解剖学を学び始めた頃、私は身体をコントロールできるようになりたいと思っていました。
筋肉の名前を覚え。
骨の形を覚え。
神経や血管の走行を覚え。
筋膜ルートを勉強して。
知識が増えれば増えるほど、身体を理解できた気になっていました。
だからこそ「お客様の身体を変えたい」と最初は思っていました。
もちろん知識は大切です。
今でも解剖学は大好きです。
そして学ぶことは当たり前です。
そして
人の身体は、私たちが思っている以上に賢い。
そして私たちが思っている以上に、自分で変わる力を持っています。
例えば傷。
指を切った時、私たちは傷を治していません。
身体が勝手に治しています。
骨折だってそうです。
医師が骨を固定することはできます。
でも骨をくっつけているのは身体です。
風邪をひいた時も同じ。
薬は補助をしてくれます。
でも回復していくのは身体の働きです。
呼吸もそう。
眠ることもそう。
食べたものを消化することもそう。
私たちは毎日、自分の意思とは関係なくたくさんの生命活動を行っています。
これを恒常性(ホメオスタシス)と呼びます。
身体には元の状態に戻ろうとする力があります。
バランスを保とうとする力があります。
私はこの力にいつも感動します。
施術も同じだと思っています。
私たちは筋肉や靭帯、筋膜を緩めたり緊張させることはできます。
関節が動きやすくなるきっかけを作ることもできます。
呼吸しやすい環境を作ることもできます。
でも身体を変えているのは施術者ではありません。
身体そのものです。
だから私はお客様を変えようと思っていません。
正確に言うなら、
変えようと力むことをやめました。
昔はもっと変えたい。
もっと結果を出したい。
もっと喜んでほしい。
そんな気持ちが強かったと思います。
もちろん今も結果は大切です。
ですが今は少し考え方が違います。
私は変化を押し付けるのではなく、
その人が本来持っている力を発揮しやすい状態を作ること。
その方が大切だと思っています。
そしてこれはお客様だけではありません。
私は講師として活動もしています。
受講生の皆さんにも同じことを思います。
私は生徒さんを成功させることはできません。
技術を伝えることはできます。
考え方を伝えることもできます。
経験を共有することもできます。
でも行動するのは本人です。
サロンを作るのも本人です。
お客様との関係を築くのも本人です。
だから私は誰かを変えようとは思いません。
変わる力は、その人の中にあるからです。
私たち施術者や講師の役割は、その力を信じること。
そして必要な時にそっと背中を押すこと。
それだけで十分なのかもしれません。
私は今日も施術をします。
でもお客様を変えようとは思っていません。
その人が本来持っている力を信じながら、目の前の身体と向き合いたいと思っています。
ただ、「お手伝い」ができるようになるには
技術力と知識力が絶対に必要不可欠です。
人の身体をある程度理解できないと、後押しはできません。
その場しのぎではなく、その人が本来持っている力を引き出すための知識と技術が必要です。
だから私は今も学び続けています。
お客様を変えるためではなく、
お客様が自分の力で変わっていくためのきっかけを作れる人でありたいからです。
私はお客様を変えようと思っていない

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