通わせることと信頼されることは違う

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私は昔から、
「どれくらいのペースで来たらいいですか?」
という質問に対して決めている応え方があります。
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自分で身体を観察してほしいので
「絶対に月1回」「3週間に一回必ず来てください」
みたいな提案はしません。
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もちろん目安はお伝えしますが,それが絶対ではないことと,自分の身体と心を観察することをお伝えしております。
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本当は私が決めることではないと思っているからです。
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美容業界には色々な考え方があります。
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次回予約率を上げる。
来店周期を管理する。
継続率を上げる。
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もちろん経営をする上では大切な数字です。
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私もサロンを経営しているので、その大切さは理解しています。
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でも、この仕事をしていて思うことがあります。
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それは、
「通わせること」と
「信頼されること」は、
必ずしも同じではないということです。
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なんなら全くの真逆だとも思っています。
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私はお客様に長く来ていただきたいと思っています。
だけどそれが「依存してほしい」という意味ではありません。
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むしろ逆です。
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自分の身体を理解できるようになってほしい。
自分の状態を感じられるようになってほしい。
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そう思っています。
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解剖学を学んでいると、人の身体は本当に面白いなと感じます。
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例えば呼吸です。
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呼吸は意識しなくても勝手に行われています。
これ自体が私は生き物ってすごいとさえ思っています。
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横隔膜が動き、肋骨が広がり、肺が膨らみます。
さらに骨盤底筋群とも連動し、身体の内側ではたくさんの調整が起きています。
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誰かが指示しなくても。
誰かが管理しなくても。
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本来の身体は、自らバランスを取ろうとしています。
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これを恒常性(ホメオスタシス)と呼びます。
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人の身体には元に戻ろうとする力があります。
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傷が治るのも。
疲れが抜けるのも。
睡眠を取りたくなるのも。
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すべて身体が自分で行っていることです。
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施術者はその力を引き出すお手伝いをしているだけなのだと私は考えています。
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私は施術が好きです。
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お客様の呼吸が深くなる瞬間が特に好きです。
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顔色が変わる瞬間も好きです。
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鏡を見た時に笑顔になる姿を見るのも好きです。
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でも、その変化を作っているのは私だけの力ではありません。
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お客様自身の身体です。
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私たちはきっかけを与えることはできます。
ですが、その変化を維持するのはお客様自身です。
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だから私は、
「私がいないとダメ」
という関係を目指していません。
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むしろ、
「自分で気づけるようになる」
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ことの方が大切だと思っています。
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実際に長く通ってくださるお客様ほど、
依存的ではありません。
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少し疲れたな。
最近呼吸が浅いな。
顔がむくみやすいな。
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そんな変化を自分で感じ取れる。
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だから必要なタイミングで予約を入れられる。
私はそれが理想だと思っています。
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この考え方は関節にも少し似ています。
関節は動かないから安定するのではありません。
適切に動けるから安定するのです。
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例えば股関節。
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全く動かなければ安定するように思えますが、実際は違います。
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動かない関節は周囲の筋肉を固め、他の場所に負担をかけます。
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本当に安定している関節は、
必要な時に動ける。
必要な時に支えられる。
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その両方を持っています。
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私はサロンも同じだと思っています。
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囲い込むことで続く関係ではなく、
自由に選べるから続く関係。
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不安を与えることで通ってもらうのではなく、
安心できるから選んでもらう関係。
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その方が長く続く。
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その方がお互いに心地良い。
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だから私はこれからも、
お客様を依存させるサロンではなく、
自立を応援できるサロンでありたいと思っています。
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そしてセラピストを育てる立場としても同じだと思っています。
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受講生の皆さんにも、
私の真似をするのではなく、
自分の考えを持ってほしい。
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自分の言葉で伝えてほしい。
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自分のサロンを作ってほしい。
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身体もお客様も,セラピストも。
自立しているからこそ美しい。
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私はそう思っています。
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そしてこの考え方でサロンを運営するのが長くサロンを続けるための秘訣だと思います。

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